Red Hat、ハイブリッド環境におけるインテリジェンスとセキュリティを強化したRed Hat Enterprise Linux 10を発表

  • AIを活用したLinux管理機能を搭載、 ITイノベーションのための耐久性の高い基盤が、インテリジェントなハイブリッドクラウド運用を促進
  • 将来の量子技術による脅威を軽減するセキュリティ機能を追加
  • コンテナをOSの標準言語とし、Red Hat Insightsの新機能により、構築時により多くの情報に基づいた意思決定が可能に
  • 新たなアーキテクチャとソフトウェアイノベーションをサポートすることで、次世代の開発者を支援
東京 -

[マサチューセッツ州ボストン -RED HAT SUMMIT- 2025年5月20日(現地時間)発表] アメリカ報道発表資料抄訳

オープンソース・ソリューションのプロバイダーとして世界をリードするRed Hat Inc, (以下、Red Hat)は本日、世界有数のエンタープライズ向けLinuxプラットフォームの最新版であるRed Hat Enterprise Linux 10を発表しました。これはハイブリッドクラウドに対するダイナミックな需要やAIの変革力への対応を支援するものです。Red Hat Enterprise Linux 10 は、単なるイテレーションにとどまらず、企業のIT部門に戦略的でインテリジェントなバックボーンを提供することで、複雑性の増大に対応してイノベーションを加速し、将来に向けてより安全なコンピューティング基盤を構築します。

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Red Hat Enterprise Linuxは、現在と将来のIT戦略イニシアチブの両方において、堅ろうな基盤層の確立を実現します。

ライアン・キャスキー(Ryan Caskey)氏

IDC リサーチマネージャー

企業のIT部門がハイブリッド環境の普及やAIワークロードの統合という課題に取り組む中、インテリジェントでレジリエントかつ耐久性のあるオペレーティングシステムの必要性はかつてないほど高まっています。Red Hat Enterprise Linux 10はこうした課題に対処し、俊敏性、柔軟性、および管理性を実現するプラットフォームを提供します。また同時に、将来的なソフトウェアの脅威に対する強固なセキュリティポスチャを維持します。

複雑な環境をインテリジェントに運用: LightspeedでAIを活用したLinux管理を導入

Red Hat がスポンサーとなって行われたIDCの調査1 によると、「組織は、拡大が進むディストリビューションフリートの運用とサポートに必要なLinuxスキルセットの確保に苦慮しており、セキュリティ、コンプライアンス、アプリケーションのダウンタイムといった点において、さらなるリスクにさらされています。技術的な要求が進化し続け、こうしたデプロイメントシナリオやメカニズムをさらに使用する必要がある中、Red Hatはこれらすべてに実現可能な形で対応できる数少ないプロバイダーの1つです」とされています。

Linux管理におけるこの重大なスキルギャップに対処するため、Red Hat Enterprise Linux 10にはRed Hat Enterprise Linux Lightspeedを導入しました。生成AIをプラットフォーム内に直接統合することで、自然言語インターフェイスを通じてコンテキストアウェアなガイダンスと実用的な推奨事項を提供するのに役立ちます。また、数十年にわたって蓄積された Red Hat Enterprise Linux固有の知識を活用し、一般的な問題のトラブルシューティングから複雑なIT資産を管理するためのベストプラクティスまで、さまざまなタスクを支援します。Red Hat Enterprise Linux 10では、AIを活用したヘルプがコマンドラインに直接表示されるため、経験の浅い IT プロフェッショナルや経験豊富な IT プロフェッショナルも、広大なRed Hat Enterprise Linux環境をより効率的に管理できるようになります。

量子フロンティアに向けたセキュリティ機能の強化

量子コンピューティングの長期的なセキュリティへの影響を踏まえ、Red Hat Enterprise Linux 10は、耐量子暗号のための連邦情報処理標準 (FIPS: Federal Information Processing Standard) 準拠を統合した初のエンタープライズLinuxディストリビューションとして業界をリードします。このプロアクティブなアプローチにより、組織は将来の「Harvest now, decrypt later(今収集し、後で解読)」攻撃に対する防御を強化し、進化する規制要件に対応できます。これには、現在収集されているデータの将来的な解読リスクを軽減するための耐量子アルゴリズムや、ソフトウェアパッケージとTLS証明書の完全性と真正性を検証するための、ポスト量子署名スキームの組み込みなどが含まれます。

ハイブリッドインフラストラクチャの統合と意思決定のシフトレフト

Red Hat Enterprise Linux 10は、 イメージモードによってエンタープライズオペレーティングシステムのパラダイムシフトを実現します 。このコンテナネイティブなアプローチは、単一の合理化されたワークフロー内でオペレーティングシステムとアプリケーションの両方の構築、デプロイ、および管理を統合します。お客様は、コンテナ化されたアプリケーションから基盤となるプラットフォームまで、ITランドスケープ全体を一貫した同じツールと手法で管理できます。このアプローチでは、予期しないパッチの適用漏れを未然に防ぎ、アプリケーション開発者とIT運用チーム向けに統一化された手法を確立することで、構成ドリフトを大幅に低減します。

IT組織は、標準運用環境(SOE)におけるパッケージの特定の組み合わせに関して、構築時に重要な意思決定を行うことが頻繁に求められます。Red Hat Enterprise Linux 10 には、Red Hat Insightsのイメージビルダーのパッケージ推奨機能が追加され、本番環境に影響を与える前にチームが特定のデプロイに対してより多くの情報に基づき、それぞれに合ったパッケージの意思決定を行えるようになりました。また、Red Hat Insightsのプラン作成機能が、Red Hat Enterprise Linuxのロードマップとライフサイクルに対するビューを提供し、プラットフォームの将来への対応力を高めます。

クラウドネイティブからAI-readyまで: Red Hat Enterprise Linux 10が今後の展開を支援

本番環境の信頼できるバックボーンとしての数十年にわたって築かれてきたRed Hat Enterprise Linuxの実績が引き継がれ、現在と将来のテクノロジーニーズの両方に対応します。この最新版のプラットフォームは、Red Hat AI、Red Hat AI Inference Server、Red Hat OpenShift AI、Red Hat Enterprise Linux AI(RHEL AI)を含むRed Hatのキュレーション済み、最適化済みのAIソリューションの基盤として機能します。

Red Hat Enterprise Linux 10には、以下の機能やイノベーションが新たに追加されています。

  • AWS、Google Cloud、Microsoft Azure において、事前チューニング済みかつ完全サポートの、すぐに実行可能なRed Hat Enterprise Linux イメージで、今すぐにハイブリッドクラウドに対応
  • Red Hat Enterprise Linux の拡張機能リポジトリを介して、Podman Desktop のようなコミュニティサポートのソフトウェアをより安全で利便性の高い方法で活用し、IT ツールキットを拡張
  • AIなどの負荷の高いワークロード向けに設計された先進的なハードウェア上で、パートナー検証済みのソリューションを活用することで、安心してイノベーションを推進 でき多様な選択肢により本番環境での可能性の限界を押し広げる
  • SiFiveとのコラボレーションによるRed Hat Enterprise Linux 10 開発者プレビューにより、 新しいアーキテクチャの探求と 、RISC-V プラットフォームの開発の先取りが可能に。HiFive P550 RISC-V アーキテクチャ向けのより安全で信頼性の高いプラットフォームへの早期アクセスを提供
  • 今後予定されているRed Hat Enterprise Linux Security Select Add-On により、Linux セキュリティにおいいて柔軟かつかつ容易に戦略の最適化が可能に。同アドオンにより、年間最大10件の特定の脆弱性(CVE)修正のリクエストが可能

ご利用について

Red Hat Enterprise Linux 10は現在、Red Hat カスタマーポータルから一般提供されています。開発者のみなさまは、ソフトウェアへのアクセス、ハウツー動画、デモ、ドキュメントなど、豊富なリソースを提供する無償の Red Hat 開発者プログラムを通じて Red Hat Enterprise Linux 10にアクセスすることも可能です。

Red Hat Summit

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サポートコメント

Red Hat Red Hat Enterprise Linux担当バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャー、Gunnar Hellekson(グンナー・ヘレクソン)
「Red Hat Enterprise Linux 10は、企業のIT部門や開発者が現在あるものの管理だけでなく、未来を構築できるように設計されています。生成AIを使用したインテリジェントな機能、イメージモードによる統合型のハイブリッドクラウド管理、ポスト量子暗号を使用したセキュリティへのプロアクティブなアプローチにより、Red Hat Enterprise Linux 10は、ハイブリッドクラウドとAIの時代において成功するために必要な堅ろうで革新的な基盤を提供します」

ABB プロセスオートメーションテクノロジー部門 シニアバイスプレジデント Stefan Basenach (ステファン・バセナッハ)氏
「ABBはRed Hatとの協業により、エッジ環境とハイブリッドクラウド環境において産業ユースケースの運用一貫性を拡張することに尽力しており、プロセスオートメーションと産業制御を未来に向けて変革しています。Red Hat Enterprise Linuxのイメージモードを使用することで、オペレーティングシステムの構築プロセスを簡素化して開発ライフサイクルを合理化し、標準化されたインストール方法を実装できます。その結果、製品イノベーションのスピードが向上し、デプロイのワークフローがよりアプライアンスライクなものになるため、お客様はセットアップに費やす時間を短縮し、ABBのテクノロジーを活用してビジネス成果を生み出すことに、これまで以上に集中できます」

IDC リサーチマネージャー ライアン・キャスキー(Ryan Caskey)氏
「運用要件の進化により、組織には多様なLinuxディストリビューションが蓄積されがちですが、こうした異種環境を一貫して保守することは、ますます困難になっています。大規模で複雑なインフラストラクチャや、日常的に人員不足、スキル不足、資金不足に陥っているチームにより、さまざまな問題が発生し、解決策が求められています。Red Hat Enterprise Linuxは、現在と将来のIT戦略イニシアチブの両方において、堅ろうな基盤層の確立を実現します」

セールスフォース ソフトウェアアーキテクト アニッシュ・バット(Anish Bhatt)氏
「複雑化する現在のテクノロジーランドスケープにおいて、インフラストラクチャを大規模に管理することは困難です。イメージモードなら、パイプラインと 、ますますコンテナ化が進む構築プロセスを統合できます。また、私たちの環境に安定性をもたらし、構成ドリフトを減らし、より一貫性のあるデプロイ体験を実現してくれます。さらに、Red Hat Enterprise Linuxのメジャーリリースとマイナーリリースの間のアップグレードも、変更を迅速にロールバックできる機能により、運用上のリスクが少ない状態で行えます。イメージモードは、単一のパイプラインでクラウドネイティブなアプリケーション開発とIT運用を簡素化するための有意義なステップです」

1 Red Hat がスポンサーを務めた IDC のホワイトペーパー。 「The Business Value of Standardizing on Red Hat Enterprise Linux(Red Hat Enterprise Linux を標準化することのビジネス価値) 」 文書番号US52594324, 2024年9月

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  • Red Hat はオープン・ハイブリッドクラウド・テクノロジーのリーダーであり、変革をもたらす IT イノベーションと AI アプリケーションのための信頼できる一貫性のある包括的な基盤を提供しています。クラウド、デベロッパー、AI、Linux、オートメーション、アプリケーション・プラットフォームテクノロジーのポートフォリオにより、データセンターからエッジまで、あらゆるアプリケーションをあらゆる場所で実現できます。Red Hat は、エンタープライズ向けオープンソース・ソフトウェア・ソリューションを提供する世界有数のプロバイダーとして、将来の IT 課題を解決するためにオープンエコシステムとコミュニティに投資しています。Red Hat は、パートナーやお客様と協力しながら、コンサルティングサービスや受賞歴のあるトレーニングや認定資格の提供に支えられて、お客様の IT 環境の構築、接続、自動化、保護、管理を支援しています。



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