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前回の記事では、組織の AI 準備状況の評価からイノベーションの文化の醸成まで、最初の人工知能 (AI) プロジェクトを開始する前に実行すべき 6 つのことについて説明しました。ここでは、最初の 生成 AI (gen AI) のパイロットプロジェクトを準備し、開始する方法を紹介します。

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最初の AI アプリケーション開発プロジェクトに着手する準備ができていると判断する際に、まず AI のユースケースを特定し、選択し、これらに優先順位を付ける必要があります。これを効果的に行うには、以下を実行する必要があります。

  • AI ソリューションではなく、問題からスタートする
  • 生成 AI が解決に役立つ可能性のある問題についてブレインストーミングする
  • すでに得意としている分野を拡張する
  • AI を小規模で具体的なタスクに適用する
  • 必要なデータを確保する

上記のステップが AI プロジェクトの成功にどのように役立つかについて、詳しく見ていきましょう。

AI ソリューションではなく、問題からスタートする

AI への関心が爆発的に広がり、誰もがその新しいテクノロジーを組織で活用する方法を模索していますが、多くの AI プロジェクトは失敗しています。なぜなら、それらは問題を探すためのソリューションとなってしまうためです。

たとえば、AI ツールを使ってみたいという人がいて、役に立ちそうな実験を始めるとします。その後、数人の他のメンバーがこのプロジェクトに興味を持ち、膨大な量の時間、資金、リソースを費やして本格的な AI アプリケーションを開発しようとするとします。しかし、このプロジェクトは明確に定義され、範囲が明確に設定された問題から始まった訳ではないため、プロジェクトの開始時には現実が見えてきます。この AI アプリケーションは特定の目的に役立つことはなく、最終的には破棄されます。

これは陥りがちな落とし穴ですが、多くの場合、生成 AI が役立つ可能性のある実際のビジネス上の問題やユーザーの抱えている問題点を明確に特定することで、これを回避することができます。

生成 AI が解決に役立つ可能性のある問題についてブレインストーミングする

部門横断的な AI チームを構築したら、AI がどのように組織に実際の影響を与えるようにできるかについてブレインストーミングを行います。

開始にあたっては、次のような質問をすることができます。

  • 生成 AI は、生産性の向上、コストの削減、カスタマーエクスペリエンスの向上にどのように役立つか。
  • 生成 AI を使用して自動化できると考えられる反復的または時間のかかるどのようなタスクやプロセスがあるか。
  • 生成 AI で顧客のエクスペリエンスをどのようにパーソナライズできるか。
  • 生成 AI を活用することで、まだ開発されていない機会を開けるか。
  • 長年にわたって収集してきたデータで、生成 AI で活用できるデータはあるか。
  • 生成 AI を活用することで、より理解を深め、緩和できる既存または未知のリスクはあるか。
  • 生成 AI によって増強し、拡張できるビジネス価値や組織の強みとは何か。

すでに得意としている分野を拡張する

AI モデルについて考慮する際に、実際にモデル化したいものについて考える必要があるのは当然なことです。

たとえば、カスタマーサービスが優れていて、顧客から良い評価を得ている場合、AI を使ってそのサービス品質をスケールアップできるようにするために、そのサービスをモデル化する方法を考えみてください。AI を使って自動化を進めれば、すべての顧客がいつ、どのように貴社に問い合わせても、常に最高のカスタマーサービスを利用できるようになりますか?カスタマーサービスのエージェント自体が問い合わせに対応できるようにモデル化できるような社内のナレッジベースはありますか?

AI による自動化とスケールアップにより、組織の卓越性をさらに高めることのできる方法は他にありますか?

AI を小規模で具体的なタスクに適用する

多くの AI プロジェクトは、AI テクノロジーに一度にあまりにも多くのことを要求するために失敗しています。生成 AI のアプリケーションは、目的と境界が明確に定義される場合にその効果を最大限に発揮します。

また、タスクがより単純で具体的であるほど、AI がエラーやハルシネーションが生じる可能性が低くなります。AI は、(具体的なプロンプトやモデルの学習済みデータの増強なしに) コンテキストを理解することができず、大まかな一般化を行うことが苦手であるため、より複雑な出力やタスクを管理しようとすると困難が生じる可能性があります。

たとえば、AI を使用して新しい長文のオリジナルコンテンツを生成しようとするのではなく、企業のスタイルガイドでトレーニングする専用の AI モデルを開発する方が、貴社のライターが編集作業をより効率的に行う上で役立つでしょう。

必要なデータを確保する

AI モデルの品質は、そのトレーニングに使用するデータで決まります。次の魅力的な AI アプリのアイデアを考え出すのは良いことですが、必要なデータが存在しなかったり、データの品質が低い場合は、意味がありません。

特定の AI ユースケースを念頭に置いている場合は、機能横断的な AI チームと協力して、そのユースケース向けのモデルを効果的にトレーニングするために必要なデータについてブレインストーミングします。次に、利用可能なデータソースを評価して、そのデータが存在するかどうか、簡単にアクセスできるかどうか、使用するのに十分な品質を備えているかどうかを確認します。

AI パイロットプロジェクトを開始するためのガイドライン

e ブック「未来を切り開く:絶え間ないイノベーションの時代に対応するためのエグゼクティブ向けガイド」では、さらに詳しく説明していますが、最初の AI パイロットプロジェクトを立ち上げる準備ができたら、以下の点を覚えておく必要があります。

AI プラットフォームを賢く選ぶ

AI 業界における変化と開発のスピードに合わせて、柔軟性と選択肢を提供するオープンプラットフォームで構築された AI ソリューションを選択することで、AI プロジェクトを未来のテクノロジーに対応させていくことができます。

小規模な AI プロジェクトから始める

AI のユースケースを明確に定義し、範囲を明確にすることの重要性についてはすでに説明しましたが、チームや組織に AI モデルの開発や生成 AI アプリケーションの開発経験が蓄積されない限り、小規模で焦点を絞ったものから始めるのが賢明です。

測定、反復および監視

成功の条件を事前に定義して、実際に何を達成しようとしているのかや、成功しているかどうかを把握できるようにします。プロジェクトの影響を測定し、進捗状況を頻繁に確認できるように、メトリクスを定義しておきましょう。機能していることや機能していないことを把握できるなら、開発を継続することで AI アプリケーションをどのように改善できるかについて、情報に基づいた意思決定を行うことができます。

また、「データドリフト」に注意を払い、モデルのトレーニングに使用されたデータと本番環境のデータに整合性があることを確認してください。不整合なデータがあると、モデルの動作が時間の経過とともに変化する可能性があります。

パートナーと賢く協業する

Red Hat では、「No one innovates alone (誰も独りで革新を起こすことはできない)」という表現をよく使っています。貴社の成功の可能性を高め、将来にわたって共に成長できる信頼できるパートナーについては、時間をかけて特定し、選択しましょう。

Red Hat のサポート内容

Red Hat は長年にわたり、オープンソースのリーダーシップとアップストリームへの貢献を担ってきました。その歴史は、AI の新たな時代においても続いていきます。オープン AI プラットフォームの最先端であるだけではなく、お客様が AI アプリケーションのデプロイ、ホスティング、スケーリングのためにハイブリッドクラウドを最大限に活用できるよう、ベンダーに依存しないソリューションを提供し続けています。

Red Hat が提供する利点については、こちらの e ブックをご覧ください。以下で、各種の利点を要約しています。

  • オープンソースのリーダーとしての歴史
  • 制約を受けずに革新できる自由と柔軟性
  • すべてがアクセスでき、適応できる AI
  • より広範なコミュニティとエコシステムに深く根ざしている
  • 業界をリードする専門知識と経験
  • エンタープライズグレードのサポートとセキュリティ

Red Hat AI

Red Hat Enterprise Linux (RHEL) AIRed Hat OpenShift AI を組み合わせることで、コンテナ化アプリケーションの場合と同様の方法で AI モデルのデプロイ、管理、スケーリングを行える、フル機能の AI モデル開発、チューニング、ホスティング・プラットフォームが実現します。

RHEL AI には、以下が含まれます。

  • Granite のオープンソースライセンス LLM:Apache 2.0 ライセンスの下で提供され、業界をリードする透明性を備えており、トレーニング用のデータセットとモデルの重みを確認することができます。
  • サポート付きで、ライフサイクルが定義された InstructLab のディストリビューション:LLM の各種機能を強化し、 微調整するためのスケーラブルでコスト効率の良いソリューションです。
  • ブート可能な RHEL のイメージ:PyTorch などの一般的な AI ライブラリと、一連のハードウェアに最適化されたアクセラレーターが含まれています。
  • エンタープライズグレードのテクニカルサポート: Red Hat が提供します。
  • オープンソース保証:これによる法的保護については、有効な有料 Red Hat ソフトウェア・サブスクリプションを持つ Red Hat のすべてのお客様にご利用いただけます。

RHEL AI について詳しくは、こちらをご覧ください。RHEL vs.RHEL AI: What's the difference?

Red Hat へのお問い合わせ

Red Hat のオープン・ハイブリッドクラウド戦略は、Linux、コンテナ、自動化という技術基盤により、AI アプリケーションを必要なあらゆる場所で実行するための柔軟性を実現しています。

詳細については、直接 Red Hat にお問い合わせください。

Red Hat AI の詳細

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Red Hat の独自の AI ポートフォリオをご覧ください。Red Hat AI は、人工知能 (AI) を活用してお客様のビジネスおよび IT の目標を達成するお手伝いをします。

執筆者紹介

Deb Richardson joined Red Hat in 2021 and is a Senior Content Strategist, primarily working on the Red Hat Blog.

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