Red Hat Enterprise Linux 10 およびそれ以降のバージョンの新機能
概要
IT を取り巻く状況が急速に変化するにつれて、組織は厳しいリソースの制約、クラウド導入の変化と加速、変化し続ける継続的なセキュリティ脅威、AI の導入といった課題に直面しています。
Red Hat® Enterprise Linux® 10 は、組織がこれらの課題に対処できるよう、イノベーションを迅速化し、運用の複雑さを軽減し、セキュリティポスチャを強化して、ハイブリッド・インフラストラクチャ全体で信頼を確立するためのツールを提供します。エンタープライズ IT の現在と将来のニーズに対応するよう設計された Red Hat Enterprise Linux 10 は、AI 対応機能、イメージモードのデプロイ、拡張されたハードウェアサポート、コンプライアンス強化など、多様な機能を提供します。
よりスマートなツールで変革を実現
組織は、複雑さの泥沼に陥ることなく迅速にイノベーションを推進する必要があります。Red Hat Enterprise Linux 10 の高度な AI 機能は、継続的な改善を促進し、イノベーションを活性化させます。Red Hat Enterprise Linux 10 には、システムの保守やスキルギャップの補填に費やす時間を減らし、より多くの時間を有意義な作業に充てたいチームのために役立つ機能が備わっています。
- Red Hat Enterprise Linux Lightspeed
- インテリジェントでプロアクティブな AI ガイダンスと推奨事項により、Red Hat Enterprise Linux のユーザビリティを向上させます
- 生成 AI を活用したコマンドライン・アシスタントが含まれており、トラブルシューティング、質問への回答、ログの解析を、すべて自然言語プロンプトを使用して実行できます
- イメージ作成時に関連パッケージを推奨するので、システムの実用性が向上します
- Red Hat Insights planning for Red Hat Enterprise Linux
- Red Hat Insights planning for Red Hat Enterprise Linux は、AppStreams と Red Hat Enterprise Linux マイナーリリースのロードマップとライフサイクルの詳細を一元化し、インベントリされたシステムの現在の状態に合わせてビューをカスタマイズします。これにより、組織はオペレーティングシステム (OS) の機能リリースに前もって備えておくことができるようになります
- Red Hat Enterprise Linux の今後の機能リリースと廃止予定に関するロードマップを可視化します
- 先進的な AI イノベーションのサポート
- セキュリティ重視のフレームワークを備え、AI モデルの実行に最適化されたプラットフォーム
- イメージモードのサポートとコンフィデンシャル・コンピューティングを追加し、セキュリティ重視のモデル実行を実現します
- Postgres ベクターデータベースと統合が可能で、モデル・コンテキスト・プロトコル (MCP) のサポートが計画されています
- 拡大し続ける拡張機能リポジトリと検証済みのハードウェア/ソフトウェア・パートナーエコシステムによってサポートされています
- RISC-V 開発者プレビュー
- SiFive との提携により開発者プレビュー版として提供された Red Hat Enterprise Linux 10 により、開発者は HiFive P550 RISC-V プラットフォーム上で Red Hat Enterprise Linux デプロイメントのセキュリティと信頼性を早期に体験できます
- 将来のサーバー導入に向けて RISC-V ISA を評価するための早期アクセスを提供します
- 更新された開発者ツール
- 新バージョン:PHP 8.3、NGINX 1.26、Git 2.47、Maven 3.9、MySQL 8.4
- Redis、Valkey、および新しいパスワード/認証オプションのサポートが拡張されました
- Microsoft Windows Subsystem for Linux (WSL) では、 Red Hat Enterprise Linux の開発環境をWindows 上で実行する際、従来のように仮想マシン (VM) を起動する必要がなくなりました
一貫性のあるスケーラブルな運用
インフラストラクチャが複雑になると、特にアプリケーションの構築や複数のオペレーティングシステムの管理において、チームの作業が遅れ、コストは増大します。Red Hat Enterprise Linux 10 は、重要なアプリケーションの開発とデプロイを加速し、物理、仮想、クラウド、エッジ環境を問わず一貫した体験を提供します。
- Red Hat Enterprise Linux 用イメージモード
- コンテナワークフローを活用して OS の管理を効率化します
- bootc イメージをゼロからカスタマイズできます
- コンプライアンス強化 (STIG、PCI、CIS を含む)
- イメージビルダーの強化
- ユーザー・インタフェース (UI) の改善、および Insights Image Builder と同等の機能
- パブリッククラウド、ベアメタル、仮想、WSL イメージのサポート
- クラウド上の統合機能の強化
- Red Hat Enterprise Linux 10 は、Amazon Web Services (AWS)、Google Cloud、Microsoft Azure と統合され、事前チューニング済みで共同開発およびクラウド最適化されたイメージを提供し、強化されたセキュリティ、統一された可観測性、統合された管理ツール、最適化されたデプロイオプションを実現します。
- Web コンソールの改善
- パッケージレスセッションによるリモート管理
- 新しいテキストエディター、Stratis FS 構成、統合型高可用性クラスタ管理
- システムロールの拡張
- AIDE、Podman (Quadlet 使用)、および systemd ユーザーユニットのサポートを追加します
- SAP ワークロードの最適化
- Red Hat Enterprise Linux 10 および Red Hat Enterprise Linux 9 の後続バージョンでは、SAP アプリケーションサーバーを管理する高可用性クラスタにおけるマウント構造が単純化されています
- 今回のリリースでは、SAP HANA® のスケールアップとスケールアウトのデプロイメント向けに統合された高可用性リソースエージェントも導入されています
先進的なセキュリティ対策とコンプライアンスツール
組織には、ハイブリッドクラウド環境においてアプリケーションを迅速に拡張できる堅牢なセキュリティとアジリティが必要です。Red Hat Enterprise Linux 10 はまさにその要件を満たしており、セキュリティポスチャの強化、ワークロード管理の単純化、リスクの軽減を実現します。明確なライフサイクル、迅速な統合、強化された柔軟性により、Red Hat Enterprise Linux 10 は組織がセキュリティへの注力を強化するためのツールを提供します。
- ポスト量子暗号化
- Red Hat Enterprise Linux 10 では、鍵交換を通じて機密データを保護するように設計されたポスト量子暗号化アルゴリズムが導入されており、将来の量子コンピューティングの脅威から機密を守ることができます。Red Hat は、進化するセキュリティ標準や規制要件をお客様が満たせるようにするため、今後のリリースでも継続的にアルゴリズムを追加していきます
- イメージモードのコンプライアンス強化
- パッケージモードとイメージモードの両方にセキュリティ強化プロファイルを適用します
- FIPS 検証の効率化
- 暗号化標準を個別に検証できるため、新しい FIPS 検証証明書を取得しなくても、他の変更 (パッチなど) を実行できます
- テクニカルプレビューでの暗号化 DNS および HSM のサポート
- 米国政府の行政管理予算局 (OMB) のサイバーセキュリティ要件を満たしています
- ハードウェア・セキュリティ・モジュールを使用した安全な鍵の保管をサポートします
- Insights 経由のドメイン参加
- Hybrid Cloud Console を使用して、セキュアなクラウドベースのドメイン参加を自動化します
- Red Hat Enterprise Linux Security Select Add-On
- 規制の厳しい業界向けに、Red Hat の内部 Common Vulnerabilities and Exposures (CVE) 評価とは関係なく、オンデマンドで優先的に CVE 修正を提供します
- 90 日間のサービスレベル契約で利用可能で、規制の厳しい業界に最適な迅速な処理時間を実現します
- 10 パックで購入可能です
エンタープライズ向けに設計されたライフサイクルおよび管理ツール
システム、ハードウェア、ソフトウェアの複雑なライフサイクルを管理しながら競争力を維持することは、すべてのエンタープライズレベル組織にとっての課題です。Red Hat Enterprise Linux 10 によりこれらの課題にプロアクティブに取り組めるようになり、システム管理の単純化と長期的な成功の促進が可能になります。Red Hat Enterprise Linux 10 はアプリケーション互換性評価やコンプライアンスレポートなどの機能を備えており、組織が業界標準に準拠し、成長に集中できるようにします。
- Red Hat Satellite の Red Hat Insights アドバイザー
- Red Hat Satellite 6.17 テクニカルプレビューで利用可能です
- オフライン環境でプロアクティブなディスク検出と構成の推奨事項を提供します
- Satellite 6.17 の機能拡張
- イメージモードのサポート、Flatpak 管理、セキュアブートのプロビジョニング、および IPv6 デプロイが追加されました
- Red Hat Enterprise Linux 拡張機能リポジトリ
- 検証済みのコミュニティサポートツール、開発者パッケージ、Red Hat によって構築および署名されたニッチなユーティリティをホストします
- パートナー検証プログラム
- ハードウェアとソフトウェアの互換性を単純化し、顧客サポートエクスペリエンスを最適化します
- アップグレードのルート
- LEAPP ベースのアップグレード:
- Red Hat Enterprise Linux 9.6 → Red Hat Enterprise Linux 10 (2 年間)
- Red Hat Enterprise Linux 8.10 → Red Hat Enterprise Linux 9.6 (2 年間)
- Red Hat Enterprise Linux 7.9 → Red Hat Enterprise Linux 8.10 (2 年間)
- LEAPP ベースのアップグレード:
仕様
次のリストでは、サポートされているハードウェア、デプロイ先の選択肢、アップグレードツールなど、Red Hat Enterprise Linux 10 の技術的詳細を概説しています。
- 提供状況:Red Hat Enterprise Linux 10 は標準サブスクリプションを通じて一般提供。一部の機能はテクニカルプレビューまたは開発者プレビューで提供されます
- サポートされているアーキテクチャ:x86_64、ARM、IBM Power、IBM Z、RISC-V (開発者プレビュー)
- デプロイ先の選択肢:ベアメタル、仮想、パブリッククラウド、WSL
- アップグレードツール:複数バージョンの移行に対応した LEAPP
Red Hat Enterprise Linux 10 が組織にもたらすメリット
Red Hat Enterprise Linux 10 の機能と特長について詳しくご覧ください。