お客様導入事例
カリフォルニア州、1,700 万人が利用する医療保険加入プラットフォームをモダナイズ
概要
カリフォルニア州保健福祉局 (CalHHS) とそのパートナーであるデロイトは、Red Hat® OpenShift® を使って、重要なシステムである California Healthcare Eligibility, Enrollment, and Retention System (CalHEERS) をモダナイズし、システムのスケーラビリティ、パフォーマンス、そしてユーザー・エクスペリエンスを向上させました。このプラットフォームの主な目標は、毎日数百万件に上るトランザクションを処理できることです。
Office of Technology and Solutions Integration (OTSI) を擁する CalHHS は、カリフォルニアに住む数百万人が利用する各種医療サービスの需要を管理し、カリフォルニア州医療サービス局 (DHCS) やカバードカリフォルニアを含む CalHEERS プロジェクトスポンサーが、利用者のニーズを満たせるよう支援しています。
- 業界
行政機関 - 地域
北米 (NA) - 本社
カリフォルニア州サクラメント (アメリカ) - 規模
従業員数 33,000 人 (CalHEERS を含む)
課題
カリフォルニア州の拡大する医療ニーズに対応するためのスケールアップ
California Healthcare Eligibility, Enrollment, and Retention System (CalHEERS、医療保険の加入資格、登録、保有を管理するシステム) は、州内に住む 3,900 万人が利用でき、無料または低コストの医療保険制度を検索、比較、選択できます。システム・インテグレーターであるデロイトがサポートするこのシステムは、カリフォルニア州のすべての人々、中でも特に低所得者層が質の高い医療を受けられるようにするための、きわめて重要なリソースです。
カリフォルニア州における CalHEERS の利用者数は現在約 1,700 万人で、特に加入シーズン中は利用が急増します。ピーク時には、システムが処理するユニークユーザー数は、エージェント、サービスセンターや郡のユーザー、そして一般の利用者を含めて、1 時間あたり 6,000 人を超えます。また、2025 年の加入年度中に処理するトランザクションの数は、1 日あたり最大 9,100 万件に上ります。医療保険制度改革法 (オバマケア) の成立を受けて 2012 年にレガシープラットフォーム上で構築されたこのシステムは、増大するトラフィックに対応できず、パフォーマンスやユーザー・エクスペリエンスに悪影響が生じていました。CalHEERS チームは、プラットフォームをクラウド上で再構築することを決定し、マイクロサービス・アプローチを採用するとともに、医療、規制、法律の改正に迅速に対応できる柔軟性をもたらすオープンソースツールを取り入れました。これにより、更新が迅速化し、ベンダーロックインも軽減されます。
ソリューション
マイクロサービスとオープンソース・ソリューションによるモダナイズ
チームの最優先課題は、プラットフォームをオンプレミス・インフラストラクチャから Amazon Web Services (AWS) クラウドに移行することでした。続くリフレッシュプログラムの第 2 フェーズでは、Red Hat OpenShift によるマイクロサービスを利用した、プラットフォームのモダナイゼーションを中心に取り組みました。すでに多くのチームメンバーが Red Hat のソリューションに精通していたこと、そしてデロイトと Red Hat の間には強固なパートナーシップが結ばれていたことから、Red Hat OpenShift でコンテナ化アプリケーションを構築し、スケーリングするための信頼できるハイブリッドクラウド基盤を導入することは、自然な選択だったと言えます。
移行プロセスでは、7 週間以内に 72 のインタフェースをコンテナ化された環境へ移行しました。システムは現在、1,100 万個のユーザーアカウントと約 1,800 万人の個人利用者 (うち 1,500 万人は Medi-Cal、197 万人はカバードカリフォルニア経由) をサポートしています。システム利用のピーク時には、CalHEERS チームは本番環境と非本番環境を合わせて最大 5,000 個のコンテナを実行しています。
ビジネス成果
パフォーマンスとアクセシビリティの向上により、ユーザー・エクスペリエンスが改善
Red Hat OpenShift の利用に DevOps の手法を取り入れることで、CalHEERS チームは、カリフォルニア州の利用者が 24 時間 365 日利用できるシステム可用性を確保しつつ、迅速に更新を実装する柔軟性も実現しました。CalHEERS にもたらされた重要なメリットは 2 つあります。1 つは、応答時間が 10% 短縮されたことによるパフォーマンスの高速化、もう 1 つは費用対効果の高いスケーラビリティの実現です。これにより、チームは、これまで 15 分かかっていた新しいインスタンスのスピンアップを、わずか 15 秒で完了できるようになりました。2025 年の加入年度では、過去最高となる 197 万人の利用者が医療保険に加入し、処理したトランザクションの数は 1 億 7,000 万件に上りました。Red Hat OpenShift によって、CalHEERS チームは、規制の改定やユーザーのニーズの変化に常に迅速に対応できる体勢を保っています。
CalHEERS の更新時間が大幅に短縮されたことで、遅延なしに最良のユーザー・エクスペリエンスを提供することが可能になりました。こうした更新の 1 つが、必要書類の受領通知と確認にかかる時間のコミットメントを、数日から数秒に短縮することでした。毎週数万件の書類がアップロードされ、その多くは加入資格の証明に不可欠なものです。この改善により、ユーザーが医療を受けられなくなるような事態に直面するのを避けられます。
今後、チームは人工知能 (AI) と人間によるサポートの両方を取り入れることで、ユーザージャーニーを全面的に最適化し、利用者がより利用しやすい迅速なサポートを通じて、適切な医療保険制度を選択できるようにする計画です。
Red Hat OpenShift Container Platform を使用することで、規制の改定やユーザーのニーズの変化に常に迅速に対応できる体勢を整えることができます。これまでよりはるかに短い時間で CalHEERS を更新できるため、遅延なしに最良のエクスペリエンスをユーザーに提供できます。
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